【最近の大陸での人権・規制状況】中国維権動態2016年5月15日号(中国維権網)より。翻訳:麻生晴一郎氏

投稿日 :2016年5月24日

中国維権動態2016年5月15日号(中国維権網)より。
翻訳:麻生晴一郎

◎内モンゴル自治区バヤンノール盟ウラド中旗新忽熱ソム蘇龍嘎図村の牧民5名が拘束された件の続報。5月5日午後4時過ぎ、現地幹部による集団牧草地の不正使用を訴えていた薩仁高娃ら牧民5名が同旗の公安局に捕まった。同日夜、旗の拘留所へと連行され、家族には15日間の行政拘留処分が告げられた。文字での通知はなく、拘束のいかなる正当な理由もまだ告げられていない。

◎5月8日に維権網に入った情報では、6年の判決で獄中にいる広州の人権活動家・郭飛雄が、病状が悪化したにもかかわらず治療が受けられずにいる状況に対し、上海では100名の人権活動家らが「即時に郭飛雄を釈放し、彼の医療を受ける権利を保障せよ」の呼びかけを連名で行い、街頭で彼のTシャツを着るなどの活動を行なった。また中にはハガキを監獄の責任者や郭飛雄あてに送って支持する者も出ている。

◎2014年に河南省で趙紫陽、胡耀邦や天安門事件の犠牲者に捧げる活動をして「集団公共場所秩序騒乱罪」容疑で鄭州市の警察に拘束された于世文の裁判は4たび3ヵ月間の延期がなされた。于世文は違法な長期拘留に抗議して4月27日昼以来無期限の絶食に入っている。5月9日、馬連順弁護士が于世文に接見し、外部社会における彼への高い関心を伝えるとともに絶食を停止するよう勧めた。

◎湖北省の人権活動家・尹旭安の担当弁護士によると、5月9日午前、この弁護士は黄石市大冶看守所の梅長青所長に電話をかけて尹旭安の弁護士との接見が許可されない理由を質問、答えは「委託弁護士が持参した証明書のコピーが不明瞭なため」であった。尹旭安は昨年8月20日に「騒動挑発罪」容疑で拘留されて10ヵ月が経つが、一度も弁護士の接見が許可されていない。

◎5月9日午前9時17分、広東省順徳市法院(裁判所)で李碧雲が順徳市警察の「職務不履行」を訴えた裁判中に、傍聴に訪れた彼女の姉・李綺雲、人権活動家の文敦和が同法院の警官から暴行を受けた。警官は2人を含めた3人を取り囲んで警察車に乗せようとしたが、休廷で現場に赴いた彼女を見て、連行を取りやめた。文敦和は負傷して順徳市大良人民第一医院に入院した。

◎2013年に湖北省赤壁市の市政府前で民主化推進を訴えた赤壁事件で、メンバーの袁小華、袁兵への判決が5月9日に下され、袁兵は「騒動挑発罪」と「集団公共場所秩序騒乱罪」のそれぞれ2年半の合わせて4年、袁小華は「騒動挑発罪」2年と「集団公共場所秩序騒乱罪」2年半の合わせて3年半の実刑判決を受けた。2人はすでに拘留されて3年近くが経っている。判決後、担当弁護士が彼らと接見し、2人とも「必ず控訴する」と語っている。

◎昨年の「7・09一斉拘束」で捕まった李和平弁護士の妻・王峭岭および息子は、息子が学校に通えないようにするなど連座して迫害を受けている。5月11日、著名な人権派弁護士・高智晟は「困難な状況下にある李和平夫人および息子への声援」の一文を公表し、夫がいない状態で残された家族への仕打ちを強烈に非難するとともに、王峭岭を励ました。

◎5月11日に維権網が確認した情報では、1年4ヵ月前に強制連行されて以来、行方不明になっていた著名な民主活動家で「中国人権観察」主席の秦永敏が武漢第二看守所にいることがわかった。検察院が担当しているが、その他の詳しい状況はわかっていない。2015年1月9日、秦永敏と妻の趙素利は武漢市青山区新溝橋派出所によって連行され、秦永敏は10日間の行政拘留処分を受けた。拘留は手続きもない不法な形であり、その後、夫婦とも外界から連絡が取れずに行方不明の状態が続いていた。

◎4月12日深夜に警察に連行された内モンゴル自治区ジャルート旗アルクンドレン(阿日昆都楞)鎮の活動家であるスチンビリコ(斯琴卒力格)、ナスンウリジ(那順烏力吉)、オルデン(額爾登)のうち、ナスンウリジ、オルデンの2人はすでに釈放されたが、5月15日時点でスチンビリコはまだ釈放されていない。拘留されてすでに32日間になるが、警察はいかなる適切な説明も行なっていない。

◎5月12日午後、内モンゴルの著名な活動家・ハダの妻・シナーが彼女の家を訪れた政府職員に7つの要求を提出した。以下の通りである。
1、ハダが刑期満了後も釈放されず、さらに4年間も拘束された法律上の根拠を提出せよ。合わせて精神上・経済上の損失を賠償せよ!
2、息子のウィレスをありもしない「薬物の不法所持」に陥れた直接の責任者である張濤縄(元フフホト市公安局賽罕分局副局長)を法で裁き、精神上・経済上の損失を賠償することを強く要求する!
3、私たちの家から没収した財産を戻すこと!
4、遮断された電話およびWi-Fiを開通せよ!
5、凍結した我が家の銀行口座を復活させよ!
6、背後からこそこそと息子が外でアルバイトするのを邪魔しないでほしい。私たちは完全に自分たちで食べていける!
7、問題の本質をそらさず、生存のみを語ること。法にもとづいて行なっていけば、私たちは完全に正常な人の生活を送ることができるし、自分たちだけで生活していける。官の「施し」など不要である!