香港=小山謙太郎 2014年6月4日23時53分
http://www.asahi.com/articles/ASG645H2LG64UHBI01W.html
香港で4日夜、天安門事件を忘れまいと、民主派団体が主催する追悼集会があり、主催者発表で約18万人(警察発表9万9500人)が中心部の公園に集まった。中国で事件に関する集会を公に開けるのは、1997年に英国から返還された後も「高度な自治」が許されている香港だけだ。
自由や民主を香港の「核心的な価値」とみなす市民は多い。香港大学の世論調査で「香港人は中国の民主化の発展に責任がある」と答えた人は68%に上る。香港の大学で物理を学ぶ上海出身の男子学生(24)は「中国でこの集会を知る人は少ないが、民主化を促す貴重な会です」と話した。
貴州省から来た男性(46)は25年前、同省貴陽市の大学の共産党青年団トップで、学生運動のリーダーの一人でもあった。一昨年、ネット規制を乗り越えて集会の存在を知り、参加するようになった。「香港が集会を長年守り続けてきたことに勇気づけられる」
ただ、事件を「動乱」だとした中国政府の評価を「見直したほうが良い」と答えた人は56%にとどまり、昨年に比べ7ポイント減った。香港政治に詳しい倉田徹・立教大准教授は「香港と中国大陸との経済的な結びつきが強まる中で、中国政府と対立を深めるのは避けたいという意識も広まっている」とみている。(香港=小山謙太郎)