【最近の大陸での人権・規制状況】中国維権動態2016年4月17日号(中国維権網)より。翻訳:麻生晴一郎氏

投稿日 :2016年4月24日

中国維権動態2016年4月17日号(中国維権網)より。
翻訳:麻生晴一郎

◎清明節の4月4日、上海の人権擁護活動家・菊英は革命烈士を祀りに天安門広場の「人民英雄紀念碑」に行こうとしたが、広場の入口で北京警察の身分証チェックを受けた後、馬家楼の「黒監獄」(闇監獄)に連行された。その後、彼の身柄は上海市政府駐北京事務所陳情妨害スタッフに渡され、上海市政府が北京市豊台区右外東荘90号に設立した北京市救援管理服務センター内の黒監獄で違法拘留された。4月5日昼に強制的に列車で北京を出発し、6日午前8時頃に上海に到着。上海市政府が府村路500号に設立した黒監獄を経由し、上海市浦東公安分局王港派出所で10日間の行政拘留処分を受けた。

◎4月5日、「曹順利維権団体」の黒龍江省の人権擁護活動家で癌患者の張淑芝の家族は、何の連絡もなしに黒龍江省綏化市中級法院(2016)黒12刑終51号「刑事裁定書」を受け取り、彼女の訴えが却下されたことを知った。4月6日朝、張淑芝は黒龍江省ハルビン市女子監獄に移送される途中に姉の張淑芳に電話をかけ、事情が判明した。張淑は2015年10月27日に綏化市政府による陳情妨害の際に激しい暴行を受け、その後「騒動挑発罪」で4年の有期判決を受けている。彼女は自身に罪はなく、公権力が犯罪を犯しているのであり、だから訴えたのだとしている。

◎4月12日、河南省濮陽市の投資詐欺事件で、権利擁護意識を高めた1000人以上の被害者が市政府前で被害を訴えた。だが、政府はあらかじめ特殊警察部隊を並べて待ち構えており、被害者の中の60過ぎの者と1人の若者が携帯電話で撮影したことで連行された。

◎4月12日午前9時半、人権活動家の葛志慧が北京市豊台区公安分局の違法行政処罰を訴えた裁判の控訴審が北京市第三中級法院公開法廷で開かれた。雨の中、蔡志国、王清臣、趙振甲、胡大料、居小玲、李樹南、馮小良、林雨、白祥亭、それに前日に豊台区看守所から釈放されたばかりの冉崇碧ら全国から人権活動家が集まり、裁判の傍聴を要求したが、司法警察、特殊警察に阻止され、傍聴できず、門の外で抗議を繰り広げた。

◎2016年4月13日から15日にかけ、「413無錫大捕物事件」で捕まった15人の人権活動家のうち9人が釈放され、4月15日時点で6人が刑事拘束を受けている。このうち4月13日に捕まり、無錫第一看守所にいる沈愛斌は「622黒監獄脱出事件」(622劫黒監獄案。2013年6月22日、無錫市内のホテルで地元政府に監禁されていた陳情者5人を人権活動家らが救出した事件)により1年9ヵ月の刑を受けた上に党籍と公務も剥奪された。沈愛斌は判決が不当だとして江蘇省検察院、最高検察院に訴えている。2016年2月4日に沈愛斌は釈放されたが、その時に大勢の人権活動家が彼を迎えており、拘留されている他の5人は彼を迎えた一団の中にいた天傑(天馬行空)、朱丙泉(2人とも看守所に拘留)ら沈愛斌問題と関わっており、陳情者の活発な行動を防ぐ狙いがあったと見られる。

◎「中国人権観察」副理事長・劉興は2015年5月14日に海南省海口市の自宅から警察に連行され、失踪状態になった。やがて2015年6月19日、湖北省武漢市公安局が「国家政権転覆扇動罪」容疑で彼を正式逮捕したが、その後の情報は全くなかった。2016年4月14日に維権網が把握した情報では、劉興は8ヵ月間武漢の病院で治療を受けた後、現在は監獄外で治療中(刑期は不明)とのことである。彼は高血圧、糖尿病、心臓病を患っており、手足は痺れ、歩行が十分にできない状態とのことである。

◎4月14日10時5分、人権派弁護士・浦志強は彼の弁護士免許を取り消す北京市司法局今年第1号の「行政処罰決定書」を受け取った。彼は19年間弁護士を務め、2014年5月3日、北京の各界の著名人物たちと「六四紀念研究会」を開いたことで北京市公安局に拘束され、2015年12月22日、北京市第二中級法院は「民族怨恨扇動」と「騒動挑発」の罪で禁錮 3年、執行猶予3年の判決を言い渡した。

◎広東省の人権派弁護士・葛永喜が4月15日0時頃、5人の私服警官に連行された。葛永喜はパナマ文書の国家指導者関連のスレッドを転載し、大きな反響を起こしていた。その後、彼は佛山市黄歧塩布派出所に連行された。彼は1974年2月12日生まれ。広東安国弁護士事務所の弁護士で、多くの人権関連案件を手がけている。

◎4月15日は胡耀邦の逝去27周年記念日。遼寧省撫順市の趙振甲、黒竜江省鶴崗市の王清臣、広東省東莞市(戸籍は重慶)の冉崇碧、河南省洛陽市の胡大料、張素珍、重慶市の李佳坤、福建省の呉秀妹、湖北省の趙克鳳ら冤罪の人権活動家らが胡耀邦の家族の住む会計師胡同25号に集まり、供養をおこなった。供養は簡素なもので、終了後に彼らは去ろうとしたが、どこからともなく多数の私服警官が現れ、趙振甲、王清臣、趙克鳳ら多数を連行、西長安街派出所で尋問をおこなった。

◎4月16日に維権網に入った情報によると、広東省江門市の違法ワクチン被害者の家族・余同安は警察当局から被害者家族たちから成るグループ「疫苗和家庭群」(QQが4月2日閉鎖)を退出するよう脅迫された。余同安は同グループの創立者の1人で、違法ワクチン関連法案を推進する人権活動を10年続けている。4月15日から彼は地元の私服警官に24時間尾行されたが、その目的は集団で北京に行き、衛計委(国家衛生・計画生育委員会)に訴える活動を阻止することだった。